資格取得は転職に有利ですか?(IT業界の転職)

Q.

資格を取得したほうがIT転職には有利ですか?

「上流工程の経験を積みたいために転職を考えているのですが、周囲から資格の取得を勧められています。転職の際はもちろん、キャリア形成にも有利だと思うのですが、勉強に必要な時間や手間の点で悩んでいます。やはり転職活動よりも、資格の取得を優先させるべきなのでしょうか?」

(32歳 プログラマー)

A.

IT転職では「資格」よりも「実務」が重視されます。

IT業界における中途採用の場合は実務経験が優先されるため、資格を取得しても採用で有利になるとは限りません。また資格の取得で得た知識のうち、実務において役立つ部分はほんの一部であることが多いです。資格を通じて技術者として幅広い見識を持つことにつながるとしても、資格の取得に必要な時間やコストを考えると、転職のタイミングを逃すリスクにつながる可能性もあります。キャリアアップや転職を視野に入れて資格取得を取ろうと考えるのであれば、そのタイミングで人材紹介会社の客観的なアドバイスを受けることをおすすめします。

IT系資格の取得が転職で有利に働くのはレアケース

中途採用では即戦力となる人材が求められますから、なによりまず実務での経験が優先されます。求人情報の条件欄を見ても分かるように、実務経験が問われることはあっても、会社側が資格取得を採用条件とすることは、基本的にはありません。

また実際に、IT関連の資格を取得した経験がある方ならば思い当たるかもしれませんが、資格取得のために学んだ知識のうち、実務に生かせることはあくまで1~2割程度に過ぎません。そのためIT業界では、「資格を取ったからといって仕事ができる証明にはならない」と考える風潮すらあります。

結論をいえば、実務において資格の有無が問題となることはほとんどありませんし、逆に資格を取得したことでキャリア形成が有利になるという訳でもありません。中途採用の面接において資格取得によるスキル向上をアピールすると、かえって「資格が役立つと誤解している=実務のことを良く分かっていない」と見なされてしまう場合さえあります。

とはいえ、転職活動において資格取得の意味がまったくないわけでもありません。質問者の方が資格取得に期待している効果と、企業の採用担当者が評価するポイントには、大きな違いがあるということなのです。

資格取得のための努力や向上心を評価

実際のところ、採用担当者は資格を持つ求職者を評価するにあたって、どういった点を見ているのでしょうか。

在職中にプロジェクトマネージャ試験を取得

大学卒業後に入社した50人規模のSIerで、システムエンジニアとして勤務する川俣耀司さん(仮名 25歳)。若いうちに技術を身につけ、ゆくゆくは大きなプロジェクトでマネージャを務めたいという意欲はありますが、二次受け、三次受け、が主体となっている現在の会社では大規模な案件そのものが少ないことから、転職を決意します。

そこでキャリアアップのため、仕事が終わった後の時間を活用し、約6カ月をかけて情報処理技術者試験の難関資格といわれる「プロジェクトマネージャ試験」を取得。

結果として取得後に臨んだ転職活動では、同じシステムエンジニア職ながら、大手SIerからオファーを受けることができました。

システムエンジニア川俣耀司さん 25歳

このケースでは、資格取得によるスキルアップが採用につながった…と単純に考えてしまいがちですが、必ずしもそうではありません。

採用担当者が評価したのは資格を通じて身につけた知識ではなく、取得にいたるまでの過程や行動力です。

川俣さんのような若いエンジニアの場合、企業側も実務経験が少ないことは十分に分かっていますから、むしろ将来の伸びしろに注目します。

つまり資格そのものではなく、忙しい仕事の合間に計画性を持って勉強を行い、難関試験に突破したという「学習意欲」や「向上心」が評価されたわけです。

なぜ、その資格が必要なのかをしっかり考えてみる

もうひとつ、採用担当者が資格に関して注目するポイントに、「資格を取得した動機」があります。
同じく小規模なSIerでインフラエンジニアとして勤務する、林さん(仮名 29歳)の例を見てみましょう。

8個ものベンダー資格を取得したものの転職には役立たず…

林誠人さん 29歳
インフラエンジニア

年収350万→500万

林さんの会社では、客先に常駐してプロジェクトに参加する形態をとっており、プロジェクトに応じてさまざまな技術が要求される反面、専門性を深めることが難しいという不満がありました。

ネットワーク技術に特化したスペシャリストを目指す林さんは、現在の会社に入社して4年が経過したことを契機に、転職活動を開始します。

林さんの場合、顧客や取引先に対して実力をアピールする目的もあり、これまで参加してきたプロジェクトに関連して、8個ものベンダー資格を取得していました。それだけに「採用担当者が実務経験や知識を高く評価してくれるはず」との自負もありましたが、予想に反して、なかなか結果に結び付けることができません。

転職において、資格の有無が評価されることがないのはすでに述べた通りですが、林さんのように多方面にわたる資格を取得していると、キャリア形成にブレがあると見なされ、かえってマイナスになる場合があります。

つまり、「自分の強みや、やりたい仕事が明確になっていない」という評価を下される可能性があるのです。ほとんどの場合、採用担当者は「なぜその資格を取ろうと思ったのか」という動機に着目します。

「現場で困ったことがキッカケとなり、より知りたくなって勉強した」のか、「会社から取得を指示された」のか、あるいは「ただ資格を取得することだけが目的の資格マニアなのか」などを判断することによって、その人のキャリアプランや仕事に対する姿勢を評価するわけです。

そのため、資格取得の動機をしっかりと説明できない場合や、応募した職種とジャンルがかけ離れた資格を取得している場合は、あえて履歴書に書かないほうが良い場合もあります。

ちなみに林さんの場合は、「多数の資格を取得したことによるスキルの高さ」を前面に出していたことが、不採用の原因だったといえるでしょう。

そこで弊社にご相談いただいた時点で、「多くの資格を取得しているのは、どのようなプロジェクトにも素早く適応でき、高い学習意欲をもって仕事を行えることの証明」とアピールの中身を切り替えることとしました。

結果、ネットワーク機器メーカーをはじめ、複数のベンダーからエンジニアとしての内定を得ることができています。

資格の取得には、多くの時間や労力、場合によっては相応のお金が必要となります。転職にあたって、キャリアアップを実現するため資格取得に取り組もうと考えている方も多いと思いますが、その資格が本当に必要なものなのか、まずはじっくりと考えてみてください。

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