外資系企業に転職するメリット・デメリット

外資系企業への転職を確実なものにし、新たなフィールドで活躍するには、どのようなことを理解、準備して転職活動を行えばよいのか、日系企業との違いを明確にしながらそのポイントをご紹介します。

目次

外資系企業とは?

外資系企業に厳密な定義はありませんが、経済産業省が行なっている外資系企業の動向調査では、以下の3つの条件を満たしている企業を外資系企業としています。

  1. (1)外国投資家が株式又は持分の3分の1超を所有している企業
  2. (2)外国投資家が株式又は持分の3分の1超を所有している国内法人が出資する企業であって、外国投資家の直接出資比率及び間接出資比率の合計が、当該企業の株式又は持分の3分の1超となる企業
  3. (3)上記1、2いずれの場合も、外国側筆頭出資者の出資比率が10%以上である企業
  • 参考:経済産業省ホームページ

つまり、外国の資本の割合が主となる企業が「外資系企業」なのですが、最近では、長年にわたり日本で活動しているグローバル企業の中には、仕事の進め方や職場環境などが日系企業化しているところも多く、外資系企業の概念やイメージは変わってきています。
しかしながら、仕事をする上で求められるものなどには、日系企業との違いがあるのは確かです。以下は代表的な3つの特徴になります。

外資系企業に見られる3つの特徴

ミッションが明確

業務における目標や役割などが明確です。職場の雰囲気や空気に左右されることが少ないため休暇や残業も自分次第。あらゆる業務を自分の裁量や自己責任で行うことができます。

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評価基準がわかりやすく公平

個人の評価は、「ミッションを果たせたかどうか」で判断されるのが一般的です。成果や実績に対して曖昧な評価がないので、わかりやすく公平で、仕事に対するやりがいを感じやすい環境になっています。ただし成果を残せない場合は、厳しい評価につながってしまうこともあります。

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企業よりもミッションへの忠誠が求められる

日系企業では、会社や所属する組織に対する忠誠心が大切にされていますが、外資系企業では、「ロイヤルティ」と呼ばれるミッションに対する忠誠が重視されます。海外では1社に長く務めない傾向があり、会社や所属する組織に対する忠誠心は、評価の対象にはなりません。

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外資系企業で働くメリット・デメリット

転職活動を始める前に、外資系企業で働くことのメリットとデメリットを把握して、日系企業から外資系企業へ転職するイメージをつかんでみましょう。

外資系企業で働くことのメリット

1ステップアップやスキルアップのチャンスが広がる
外資系企業は、資格取得や研修の制度が充実しており、それらの行使を積極的に推奨する土壌があります。また実績を残し、社内でのポジションが上がれば、海外の本社などに勤務する機会もあります。将来的に海外勤務を希望する方にとっては、外資系企業への転職がチャンスをつかむための第一歩になるでしょう。
2グローバル視点が養われる
上司が外国人であることや海外の本社・支社との交流など、さまざまな国の人とのコミュニケーションを通して多様な文化や価値観に触れられるためグローバル視点が養われます。こうした経験は、ビジネスパーソンとしての飛躍につながるばかりでなく、再び日系企業で働く場合においても役立つものとなります。
3給与水準が高く、残業が少ない
外資系企業は、年功序列、社歴重視などの習慣がなく実力至上主義。自分の成果に伴う収入を得ることができるため、日系企業と比べて給与水準は高くなる傾向があります。また、仕事の効率化と成果向上を主眼に置き、プライベートな時間を大切にする風土があるのも特徴です。

外資系企業で働くことのデメリット

1実力がなければ活躍できない
優秀な人材であれば、積極的にチャンスやポストが与えられる反面、成果が出ない場合はシビアな評価が下され、昇給や活躍のチャンスがなくなってしまうことも少なくありません。
2安定志向の方はギャップに戸惑う可能性も
福利厚生の制度も日系企業とは異なる部分が多く、まったく福利厚生がない企業もあります。実力主義で見返りは大きい反面、公私で安定を求めるタイプの方は、外資系企業には向かないかもしれません。

外資系企業の転職市場の特徴

外資系企業と日系企業では、転職市場にも異なる部分が多く見られます。

職種を限定した求人・採用が多い

日系企業では、社内のさまざまな職種・部署を経験して、ゼネラリストとしての知見を養っていくスタイルが一般的です。しかし、外資系企業ではひとつの職種を通して社内、あるいは転職先でキャリアアップしていくのがスタンダード。求人においても、職種を限定したものである場合がほとんどです。

適財適所のスペシャリストが求められる

企業側が求めている人材は、「ターゲットとしている市場にマッチする人物」。例えば、日本のマーケットを開拓したいと考えている企業であれば、日本の市場に精通している人材であることが最優先され、英語力が重視されないこともあります。
また、中小企業では、業界経験者やマーケティング担当者、アジア系の企業では技術職というようにそれぞれの目的に応じたピンポイントの人材を求める傾向があります。つまり外資系企業では、企業規模を問わず「ターゲット市場に適ったスペシャリスト」が求められる傾向があるのです。

外資系企業に向いている人の特徴

外資系企業で活躍できる人には、以下のような共通した特徴があります。

1スキルや経験に自信がある
自分のスキルや経験に自信があり、積極的に新たなコミュニティに馴染める人こそが、外資系企業にマッチした人物と言えます。そのため外資系企業では、キャリアアップの観点から「できる人ほど転職していく」という傾向があります。
2自己主張ができる
外資系企業では「意見を言わない人は能力がない」と見なされることも。常に自己主張することは、心身ともに負荷が高いものですが、実力至上主義の外資系企業では、心身のタフさも求められます。
3起業家精神がある
外資系企業における共通の価値観に、「自発的に仕事を進められ、新たな仕事の提案ができる起業家精神を持った人」が評価されるというものがあります。外資系企業においては、出る杭は打たれず、出ない杭が打たれることになるでしょう。
4語学力がある
外資系企業内や海外でのキャリアアップを目指す方にとって語学力は必須スキルとなります。企業によっては、英語以外の言語が必要な場合もありますので、就業先や自分のキャリアビジョンを踏まえ、どのような語学が必要になるのかを事前にチェックしておきましょう。

日系企業から外資系企業への転職活動を行うときの注意点

転職活動におけるエントリーや面接などでも、日系企業とは異なる外資系企業ならではの特徴があります。

エントリーや面接時に注意すべきポイント

1役職のアピールは意味がない
エントリーシートの職歴に、「○○社で△△課長、□□課長を経験」などと書かれているケースをよく目にしますが、これでは役職をアピールしているだけで、専門分野や、経験してきたミッションが何なのかが伝わりません。企業はプロの人材を求めているため、自分の経験、スキル、知識、実績などを明確に書く必要があります。
2自分の価値を明確にする
外資系企業でキャリアを積んでいる方には「絶えず自分の価値を確認している」という共通点があります。自分の価値を把握していれば、応募企業に対してアピールができ、待遇などの交渉もできるようになります。自分の価値を知るためにも、複数の企業にエントリーして、どのように評価されているかを客観的に把握することも大切です。

転職を成功させるためのポイント

最後に、外資系企業への転職を成功させるための5つのポイントをご紹介します。

1経歴を振り返る
日系企業ではさまざまな職種を経験することが多いため、自分自身の強みを把握できていないことがあります。改めて経歴を振り返り、自己分析や職歴分析をしてアピールポイントを見つけてみましょう。
2エージェントを頼る
外資系企業への転職は、勝手の異なることも多く、戸惑うこともあるでしょう。そんなときは、外資系企業の転職に強いエージェントを探し、コンサルタントから情報とアドバイスを得るのが有効な対策になります。
3自分に投資する
実力至上主義の外資系企業で活躍するためには、早めにスキルアップに着手しておくことも重要です。特に語学力は、身に付けておきたいスキルのひとつ。語学力に自信がない方はすぐに勉強を始めることをおすすめします。
4転職先決定の前に契約書を確認する
外資系企業の契約書は、実に細かいことまで記載されているものが多く、よくわからないものや、納得できない項目が含まれている可能性もあります。契約書は提示された段階できちんと内容を確認して、疑問や不満をクリアにしていくことが大切です。転職エージェントを通した転職の場合、コンサルタントに相談して、アドバイスを受けることができるので、エージェントも有効に活用しましょう。
5マーケットやネットワークを確認
外資系企業は入社後すぐに成果を求める傾向があるため、事前にあらかじめマーケットや商品などについて把握しておくようにしましょう。また、これまでに培った人脈やネットワークの再確認も必要です。

キャリアアップや自分の実力を試したい方にとって、業務における目標や役割などが明確で自分の成果に伴った対価を得られる外資系企業は、とても魅力的な環境だと思います。日系企業から外資系企業への転職は大きなチャンス。「現在の自分の価値」の確認を怠らず、自分が理想とするキャリアアップを実現させましょう。

Profile

板倉啓一郎
LHH事業本部長 兼 LHH Japan Country President 板倉啓一郎

1963年生まれ。慶應義塾大学理工学部卒。大学卒業後、伊藤忠商事株式会社に入社。ケリーサービスジャパン代表取締役社長、TSケリーワークフォースソリューションズ株式会社CIOなどを経て、2014年に転職支援・人財紹介事業の責任者としてアデコ株式会社(Adecco Group Japan)に入社。2022年より現職。

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