2020年4月施行「改正障害者雇用促進法」の概要
2020年4月施行の「改正障害者雇用促進法」では、積極的に取り組む企業が社会的なメリットを受けられるよう、新たな施策を盛り込んでいます。
短時間にも特例給付金
短時間(週20時間未満)でも、障がい者を雇用したら「特例給付金」が支給されます。
【各制度の対象者イメージ】
週所定労働時間 | 雇用率制度 | 障害者雇用納付金 障害者雇用調整金 |
週20時間未満の特例給付金 |
---|---|---|---|
30時間以上 | ○ | ○ | × |
20時間以上30時間未満 | ○ | ○ | × |
10時間以上20時間未満 | × | × | ○ |
- ○:対象となる ×:対象とならない
- 雇用率制度のカウント対象とする常用労働者については、週20時間以上の労働者とする枠組みを維持
【支給金額】
事業主区分 | 支給対象の雇用障害者 | 支給額注1 | 支給上限人数注2 |
---|---|---|---|
100人超 (納付金対象) |
週10時間以上20時間未満 | 7,000円/人月 (≒調整金@27,000円×1/4) |
週20時間以上の雇用障害者数(人月) |
100人以下 (納付金対象外) |
5,000円/人月 (≒報奨金@21,000円×1/4) |
- (注1)支給額は、支給対象の雇用障害者数(実人数)に基づき、月ごとに算出する。
- (注2)支給上限人数の算定においては、重度のダブルカウント及び短時間のハーフカウントを行う。
- 支給期間は限定しない
優良事業者の「認定制度」創設
中小企業(従業員300人以下)に対し、先進的な取り組みを進めている企業に社会的なメリットを付与するため、優良事業者の認定制度を創設します。
【制度概要】
優良な中小企業の認定制度は「ポイント制」で実施します。
認定基準
- 以下の評価基準に基づき、20点(特例子会社は35点)以上を得ること。(取組関係で5点以上、成果関係で6点以上、情報開示関係で2点以上を得ること。)
- 実雇用率が法定雇用率を下回るものでないこと。(雇用不足数が0であること)
- 障がい者(A型事業所*の利用者は含まない)を雇用していること。
- 障害者雇用促進法及び同法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと。
ポイント制 評価基準(画像をクリックすると拡大します)
- A型事業所:障がいや難病のある方が、雇用契約を結んだ上で一定の支援がある職場で働くことができる福祉サービス。
【認定企業になると】
自社の商品、広告等への「認定マーク」を掲載できるようになり、公共調達で加点評価されます。
- 名刺や商品、広告等で「認定マーク」を使用可
- 求人票に「認定マーク」を表示可
- 公共調達で加点評価の対象となる(施行後、施行令で規定)
- 政策金融公庫による低利融資などを受けられる(施行後、施行令で規定)
障がい者雇用水増し問題
公的機関による大規模な「障がい者雇用水増し問題」が発覚したことへの対応として、再発防止の具体策が強化されました。(2019年9月6日施行)
【障がい者雇用のチェック強化】
障がい者雇用義務のある企業は、下記の対応をしなければなりません。
- 雇用障がい者の確認方法の公表(障がい者手帳を確認したなど)
- 国や地方公共団体の任命権者による継続雇用状況の公表
- 企業内で障害者雇用推進者を選任し、公共職業安定所長へ提出
- 企業内に職業生活相談員を選任し、公共職業安定所長へ提出
- 障がい者雇用に関する書類を3年間保存
新たな施策のまとめ
【短時間にも特例給付金】
従来の法律では、週20時間未満の雇用障がい者は雇用率制度の対象として認められず、企業は障がい者雇用調整金などの支援が受けられませんでした。
しかし、実態は障がいの特性などで、中長期にわたり週20時間を超えた働き方ができない人もいます。
短時間勤務の障がい者を雇用している企業に対し、支援策を強化することで、さらなる雇用促進が期待されます。
【優良事業者の「認定制度」創設】
2019年6月現在の障がい者雇用率を企業規模別にみると、実雇用率は企業規模が小さくなるほど下がっており、1,000人以上企業の2.31%に比べ、100人〜300人未満企業は1.97%、45.5人〜100人未満企業では1.71%と大きく下がります。
政府は、罰則を強化する方向だけでなく、取り組みに積極的な企業にメリットを与えることで、雇用促進につなげたい考えです。
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