2020年4月施行「改正障害者雇用促進法」の概要

今、注目を浴びている障がい者雇用。
「障害者の雇用の促進等に関する法律」、通称「障害者雇用促進法」を正しく把握できていますか。

現在、若者や高齢者の雇用促進など「全員参加型社会の実現」を目指す機運が高まり、社会全体に広がりをみせています。そうした中、「障害者雇用促進法」は時代に合わせた改正を重ねており、常に新たなルールに合わせた準備と体制づくりが求められています。

2019年6月、新たな改正法が国会で成立し、行政と民間企業の双方にさらなる雇用促進を促す施策が盛り込まれました。進化を続ける「障害者雇用促進法」について、企業人事が押さえておくべき要所や最近の動向を分かりやすくお伝えします。

障がい者の定義とは

身体障がい、知的障がい、精神障がいがあるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受けたり、職業生活を営むことが著しく困難だったりする人。障がいの種類を問わず、職業生活上の困難を抱えているすべての種類の障がい者が対象です。

そのうえで、法律で雇用を義務化している障がい者の定義は、

  • 身体障がい者
  • 知的障がい者
  • 精神障がい者(2018年4月追加)

です。

2018年4月に追加した「精神障がい者」とは

「発達障害を含む、その他の心身の機能障害」とされており、

  1. 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者
  2. 統合失調症、躁鬱(そううつ)病、癲癇(てんかん)にかかっている

が対象です。

ただし、「雇用にあたっては、症状が安定し、就労が可能な状態にある者」という留意点も付いています。

障がい者雇用で企業が守るべき3項目

すべての企業において、障がい者雇用に関する差別が禁止され、合理的配慮が義務づけられています。
募集や採用にあたって、下記の3項目を守らなければなりません。

  1. 差別の禁止
  2. 合理的配慮の提供義務
  3. 相談体制の整備、苦情処理・紛争解決の援助

1.差別の禁止

募集・採用をはじめ、賃金、配置、昇進など、雇用に関するあらゆる場面で、障がい者であることを理由とする差別が禁止されています。

<禁止事項>

  • 募集・採用時
    • 単に「障がい者だから」という理由で、求人への応募を認めないこと
    • 業務遂行上、不必要な条件を付けて障がい者を排除すること
  • 採用後
    • 労働能力などを適正に評価することなく、単に「障がい者だから」という理由で、異なる取り扱いをすること

<禁止事項に該当しない例>

  • 積極的な差別是正措置として、障がい者を有利に取り扱うこと
    • 例)障がい者のみを対象とする求人(いわゆる障がい者専用求人)
  • 合理的配慮を提供し、労働能力などを適正に評価した結果、障がいのない人と異なる取扱いをすること
    • 例)障害の有無にかかわらず、正当な評価で能力が優れている人を昇進させること
  • 合理的配慮に応じた措置をとること(その結果として、障がいのない人と異なる扱いをすること)
    • 例)研修内容を理解できるよう、障がい者のみ独自メニューの研修をすること

2.合理的配慮の提供義務

企業は、合理的配慮として、例えば以下の措置を提供する必要があります。

  • 募集・採用時
    • 視覚障がいがある人に対し、点字や音声などで採用試験を行うこと
    • 聴覚・言語障がいがある人に対し、筆談などで面接を行うこと
  • 採用後
    • 肢体不自由がある人に対し、机の高さを調節することなど作業を可能にする工夫を行うこと
    • 知的障がいがある人に対し、図などを活用した業務マニュアルを作成したり、業務指示は内容を明確にしてひとつずつ行ったりするなど、作業手順を分かりやすく示すこと
    • 精神障がいがある人などに対し、出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること

厚生労働省では「企業はこれらの措置を過重な負担にならない範囲で提供してください」という補足も加えています。「合理的配慮」は、障がい者一人一人の状態や職場の状況などに応じて求められるものが異なり、多様かつ、個別性が高いからです。

3.相談体制の整備、苦情処理・紛争解決の援助

企業は、障がい者からの相談に適切に対応するため、相談窓口の設置など、必要な体制をとることが求められています。また、企業は障がい者からの苦情を自主的に解決することが「努力義務」となっています。

  • 自主的解決が図れない場合は、都道府県労働局長が当事者からの求めに応じ、必要な助言、指導または勧告を企業または障がい者に行うことになっています。また、必要と認める場合は、第三者による調停を促すこともあります。

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