転職の希望条件の考え方|理想の転職を実現するために優先順位を決めよう

Q.

すべての「希望」を満たした転職は可能ですか?

将来はマネジメント職に就きたいのですが、下請けがメインの現在の会社では難しいため転職を考えています。さらに転職にあたり、年収のアップと勤務地は都内を希望しています。

いくつかの企業からオファーをいただいたのですが、なかなか理想の転職は実現できそうにありません。やはり、考え直した方が良いのでしょうか?

(31歳 ソフトウェア開発)

A.

私がお答えします。

藤田 孝弘(ふじた・たかひろ)
LHH転職エージェント シニアコンサルタント
大学卒業後、人事系コンサルティング会社に就職。人材採用と教育・人事制度関連のコンサルティングに約10年間従事。その後、IT専門の人材サーチ会社にてITコンサルタントやSEを中心とした人材のコンサルタントを約5年経験。その後アデコに転職し現在に至る。これまでIT業界を中心に4,000名以上の方の転職支援を行っている。
藤田孝弘

すべて理想どおりとはいかない。優先順位を決めよう

あなたがいかに優秀なエンジニアであっても、すべての条件を満たす「理想の転職」は難しいのではないでしょうか。 理想を追い求めるあまり、転職できなければ意味がありませんから、まずは転職の目的を改めて見直す必要があります。

キャリアアップが本来の目的なのであれば、給与や勤務地については優先順位を下げて転職活動を行うべきです。

目次

「あれもこれも」欲張りすぎると選択肢は狭まる

職場風景 

転職はキャリアアップの重要な手段であるだけでなく、仕事の環境を大きく変えるチャンスでもあります。とはいえ質問者のように「せっかく転職するのだから、あれもこれも」と、欲張りすぎてしまってはかえって逆効果になりかねません。

転職にあたっての目的は大きく「年収アップ」「やりたい仕事の実現」「キャリアアップ」などがありますが、「勤務地の変更」について希望を出す方も多くいます。しかし、複数の目的を同時に実現しようとすれば、それだけ転職のハードルは上がってしまいます。

もちろん、すべての目的がかなう「理想の転職」が無いとはいえませんが、あくまでもレアケースと考えるべきでしょう。

誤解しないでいただきたいのですが、「転職には何らかの妥協が必要となる」と主張しているわけではありません。

転職によって本当に実現したいことが何なのか、しっかり見定めたうえで、優先順位をつけて会社選びをしていくことが重要なのです。

「勤務地」に対する希望をかなえるのは難しい

どれだけ優秀な人材であっても、複数の目的を追い求めてしまうと、スムーズな転職を実現することができません。

優秀であっても条件を絞りすぎて希望通りの転職ができない

外資系の自動車部品メーカーで、組み込みソフトウェアのエンジニアとして勤務している宮崎さん(仮名 38歳)。

開発チームを率いるリーダーとして年収600万円を得ており、職場環境にも満足していましたが、本社が開発した製品を日本向けにローカライズするだけの仕事に不満があり、「モノづくりに携われる」環境を目指して転職を決めます。

また、宮崎さんは転職を機に、群馬県に住む妻の両親と同居することを考えており、勤務地に群馬県を希望していました。

エンジニアとしての経歴、実力ともに申し分のない宮崎さんでしたが、その時点で条件に合う求人を出していたのは、わずか2社のみ。うち1社で面接まで進むことができましたが、大幅な給与ダウンのオファーを受け、やむなく断ってしまいます。

アイコン 
ソフトウェアエンジニア宮崎正樹さん 38歳
職場風景 

宮崎さんの場合は、群馬県内から通勤可能な企業に勤務することなのか、あるいは自分の実力を発揮できる職場に移ることなのか、転職にあたってのテーマを絞り込むことができなかったことが問題だったといえます。

実際に仕事の内容だけを見れば、宮崎さんの希望を満たす企業からのオファーはたくさんありました。

これはあくまで推測にすぎませんが、やりたい仕事を実現することこそが宮崎さんの本来の目的で、勤務地の変更というのは後からついてきた理由だったのではないでしょうか?

つまり、よりよい条件で転職したいと思うあまり、結果として自ら転職の幅を狭めてしまっていたわけです。

ちなみにコンサルタントとして数多くの事例を見てきた経験では、転職において勤務地の希望はもっとも難しい条件といえます。そもそも募集にあたっては、会社の工場や事業部が置かれた場所と関連して、あらかじめ勤務地が指定されていることがほとんどだからです。

たとえば「群馬県内」で、「組み込みソフトウェアを開発している企業」という条件だけでもかなり絞られてしまいますし、そこから中途採用を行っている企業となれば、さらに少数になるでしょう。また募集があるからといって、必ず採用されるという保証もありません。

身の丈に合わない希望をかなえるのは難しい

年収や勤務地といった条件を問わずに、「やりたい仕事の実現」だけに絞り込んだ場合でも、必ずしも希望通りに転職が成功するとは限りません。

50社にオファーを出すも転職が決まらない…

アイコン望月直樹さん 27歳
ソフトウェア開発

携帯電話メーカーの子会社でソフトウェア開発を行っている望月さん(27歳 仮名)は、開発の上流工程に携わることを目標に、約2年もの間、転職活動を続けています。

これまでに受けた会社は、なんと50社! ところが、ほとんどが書類審査で落されてしまい、面接まで進むことができた3社でもすぐに断られてしまいます。

職場風景 

転職にあたって給与や待遇、勤務地に特別な要求があるワケではなく、エンジニアとしての経験も十分に積んできた望月さんが、なかなか転職にいたらない理由とは何なのでしょうか?

将来は一流企業のCIO(最高情報責任者)として活躍したいという夢を持つ望月さん、自身のキャリアプランに固執するあまり、実は大手メーカーしか応募対象にしていませんでした。

二次請けでソフトウェア開発のみを担当する企業と、製品の企画開発から行う大手メーカーでは、たとえ同じ仕事であっても要求されるスキルや仕事の進め方が大きく異なります。

転職を機にキャリアアップを狙うことはたしかに大事ですが、望月さんのようにはるか上を目指してしまうと、自分自身の「できること」と企業側が要求する能力に大きな開きが出てしまいます。

言い方は悪いですが、いわば草野球で活躍している人が、いきなり優勝を狙えるプロ野球チームへの入団を目指すようなものだといえます。まずは、二軍でも良いのでプロ野球選手になり、実力や経験を身につけることが重要だといえます。

望月さんの例でいえば、たとえ大手メーカーではなくとも、上流工程に携われる企業へ転職するといった選択肢があったのではないでしょうか。

転職にはさまざまな理由があると思いますが、転職するにあたってあまりに多くを望みすぎて、または条件を絞りすぎて、転職できなくなってしまっては本末転倒です。

まずは転職によって本当に実現させたいことを見直したうえで、現在のキャリアで「狙える」会社の中から、いちばん目的に近いものを選ぶことがポイントなのです。

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